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NEWS

お知らせ・最新情報

  • 中国の状況,2/10現在確定診断された人40000人,疑いのある人20000人,死者900人を超えています。

  • 2020年1月23日に武漢市は閉鎖されました。

  • 1月26日から中国心理学会が「新型コロナウイルス・心のケア安心プロジェクト」を準備し始めました。中国心理学会の各委員会(危機介入委員会,カウンセリング委員会,心理相談機関委員会,資格認定委員会)が連帯してプロジェクトをはじめました。そして、1月28日から1年間の計画を社会に公表しました

中国科学院心理学研究所 劉先生 オンライン会議

4つの目標

  1. 感染者及びその関係者への心理援助

  2. ハイリスク集団への危機介入

  3. 広範囲の社会的影響に対する予防的な介入

  4. 一般の人を対象に心理健康教育

  5. (PS:精神疾患患者の医療機関への紹介)


3つの段階

  1. 急性期(初期支援)

  2. 感染症が収束した後の支援(中期的支援)

  3. 収束してから1年後(長期的支援)


11項目の援助介入方法

  1. 大講義:オンライン一般人向け,オンライン援助者対象に心理健康教育の講座,オンラインSV,Wechatを通した情報発信をしています。

  2. オンライン・セルフヘルプグループ(支援者向け):7日間PFA。2018年高橋哲先生の研修ビデオを使用予定。すでに12000人受講しています。オンライン親子参加7日間グループ学習を立ち上げています。

  3. セルフチェックのシステムをオンラインで開発:急性期セルフチェックとセルフケアのプログラムを華為技術(ファーウェイ)により実施しています。すでに2日間で10000人以上が参加しています。またファーウェイの携帯向けチェックリストを作成し、誰でもセルフチェックができるようにしています。

  4. オンライン・ホットライン・カウンセリング相談(短期間の介入):アリババ電子マネー会社の支援のもと,1000人のカウンセラーのプロフィールと得意分野を公開し,予約と相談をはじめています。1回30分-60分です。すでにこの1週間の中で8000名がこの相談を利用しています。その10%が武漢市からの相談です。

  5. 1000の相談機関:武漢市の現地のメンバーでソーシャルワーカーと協働して10カ所のコミュニティを巡回して支援しています。対象は食材店スタッフ,公務員,医療者などです。

  6. オンライン認知行動療法(CBT; Cognitive Behavior Therapy)システム:AIによるカウンセリングです。試験運用で数十人が利用しています。これはStanford Universityと中国科学院が共同で開発してきたものです。

  7. オンライン自殺予防:ウイボ公開テキストを分析して自殺リスクの解析を行っています。これは自殺予防のためてす。

  8. オンライン児童の心理教育;外に出れない子供が多いので、オンラインで子どもへの心理教育を行っています。また3月に学校が再開されますが、「災害後の学校再開最初の心理健康授業案」を準備しています。

  9. 人材登録センター:専門家80人とボランティアを含むカウンセラー3200人が登録しているネットワークを構築しました。

  10. 研修は30回,集団スーパービジョンを5回行っています。

  11. 心理援助情報パッケージ作成:相談機関,研修資料が収められており,支援者に配布しています。


 高橋から<四川大地震後には、日本が地震後の心のケアを助言しましたが、新型ウイルスでの心のケアは、中国から学ぶことがたくさんあります。ずいぶん、先を進んでおられることに敬意を表します>と、冨永からは感染症専門医との連携についての質問に対して「もともと家庭医ホットラインがあり,それに心理援助のホットラインを併設してもらいました。ですから感染症に関する質問は家庭医のホットラインで相談してもらっています。家庭医ホットラインへの相談でも心のケアホットラインがふさわしいのであればこちらを紹介してもらい、心のケアホットラインへの相談でも感染症対策についての質問は家庭医ホットラインを紹介しお互い連携しています」と刘先生は話されました。


中国科学院心理学研究所 劉先生

(記録;黄正国、編集;冨永良喜)


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 新型コロナウィルスが、発生地である中国だけでなく日本でも猛威を振るい始めており、数に差はあるとはいえ世界第二位の感染者数を数える日本でも、人々の不安は日々高まってきています。そうした多くの人々の心に発生し始めている不安、焦燥に対処するために、様々な分野での心理的な支援の体制の構築が求められています。


 私たちアジア災害トラウマ学会では、2/10の午後8時から9時までの1時間、この分野での豊富な先行経験を持つ中国科学院の劉正奎先生と、オンラインでの会議を行いました。日本側から参加したのは、当学会理事の富永良喜(兵庫県立大学)、黄正国(広島大学)そして私、高橋哲の3名です。

 劉先生とは、中国での四川大地震に際して日本から心理支援に係る専門家チームを派遣した時からもう10年以上の交流が続き、毎年東アジア各地て開催される当学会大会でも、何度も基調講演をいただいています。


 今回の会議は、現在中国で行われている具体的な心理援助の内容を詳細に示していたたき、それに対して私たち日本の専門家が質問や感想、コメントを述べるという形で行われました。その中身は下記に掲載した通りですが、四つの基本的な目標を定め、時期的な援助の段階を長期的な展望のもとに設定し、現在を急性期と見なして、四つの目標ごとに様々な分野で詳細な活動が行われている様子が示されました。特に今回の事態の大きな特徴である「対面で面接できない」ということをふまえて、インターネットを利用したオンラインでの

活動が大胆に導入されている点については、私たちに大きな示唆を与えてくれるものと思います。とりわけ、アメリカのスタンフォード大学との共同研究ですすめられているAI(人工知能)による人間のカウンセラーが介在しないカウンセリングの試みや、ウイボ(中国版のツイッター)に掲載された多くのつぶやきの中から自殺リスクの可能性を自動的に見つけ出すAIシステムなどには、正直なところ驚きを禁じえませんでした。また、日本の報道ではまるで廃墟のような扱いをされ、不十分さのみが強調される武漢市ですが、その武漢市の中てもソーシャルワーカーとカウンセラーがチームを組み拠点を定めて巡回し、人々の不安の軽減のために日々努力しているということを教えていたたき、大きな感動を覚えました。


 このように中国では、すでに人々の不安を軽減するための心理援助の試みが、様々の分野、領域で大胆に展開されています。今後日本での新型ウィルスの感染拡大がどのように進んて行くのか予断を許しませんが、私たち日本の心理支援に携わる者も、先行する中国での活動から多くの示唆をいただきながら、日本での支援体制を構築していかなければならないでしょう。さらに「見えないものの脅威」に対する心理支援という意味では、私たちにも福島での放射能脅威に対する支援の経験と蓄積がありますので、この領域における私たちの経験を世界に伝えていくことも、私たちの大きな責務であるということを忘れてはならないと思います。


 「新型コロナウィルス」による脅威は、中国や日本といった国それぞれの課題である段階を越えて、世界共通の課題てあるという段階に入ってきていると思われます。そのような課題に対しては、国境を越えた広い範囲での連携や協力が要請されます。私たちの学会は、アジアで多発する自然災害の脅威に対して、心理支援の経験の蓄積を共有するために、国境を越えたアジアでのネットワークづくりを目指して設立されました。すでに当学会では、日本、中国、台湾、香港、韓国、マレーシア、シンガポールなどの専門家のネットワークが形成されています。今こそそのネットワークを駆使した専門家の協力体制の構築が求められている時に他なりません。その観点からも私たちの果たすべき課題は多いと思います。


 私たちは、当学会に集う専門家の方々、またこの領域に関心を持つすべての方々とともに、この大変な事態に対して、自分にできる最大限の責務を果たしていきたいと考えていますので、どうかご協力をよろしくお願いいたします。


               2020.2/11 アジア災害トラウマ学会理事長 高橋 哲




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標記の件について緊急シンポジウムを開催する運びとなりました。

関係者の皆様、ご関心のある方どなたでもご参加いただけます。

参加にはお申し込みが必要です。

参加費は無料です。


ふるってご参加ください。

どうぞよろしくお願い申し上げます。


【タイムテーブル】

①武漢の最新状況と日本の大学からの現地からの報告 13時〜14時

②中国および日本の大学における新型コロナウイルス感染症に対する心理支援の実際

【現地より中継】14時〜15時

西華大学 呉薇莉  蘇州大学 陶新華  広島大学 黄正国

③【総括】アジア災害トラウマ学会からの提言 15時〜15時30分

アジア災害トラウマ学会会長 高橋哲  兵庫県立大学 冨永良喜


開催名:新型コロナウイルス感染症対策での心理援助やこころのケアの意義を考える国際シンポジウム

日 時:2020年 2 月 23 日 〔日〕 13:00~ 15:30

会 場:兵庫県立人と防災未来センター東館兵庫県立大学大学院減災防災政策研究科中会議室4F

参加費:無料




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